愛犬のくるくる回る行動が気になっている方は多いのではないでしょうか。
元気に遊んでいるようでほほえましい姿ですが、実は病気やストレスが原因で回っている場合もあるので注意が必要です。
この記事では、犬がくるくる回る主な理由とその見分け方、理由別の対処法について解説していきます。
愛犬を守るために正しい知識を身につけ、適切な対処をしてあげてください。
監修者 獣医師 丸田香緒里(まるた かおり)日本大学獣医学科卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在の獣医師になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーに、アニマルライフパートナー設立。 獣医中医師、ペット栄養管理士などの資格を生かし、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療(神奈川県藤沢市及び近郊)のほか、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。往診獣医師協会代表理事、女性獣医師ネットワーク理事を務める。著書に『犬のいる暮らし一生パートナーでいるために知っておきたいこと』(池田書店)。 |
犬がくるくる回る理由
犬がくるくると回るのには、必ず何か理由があります。
愛犬が回っているのを見かけたら、まずはその理由を考えてください。
理由がわかれば、適切な対処法も見えてきます。
以下では犬が回る主な理由をご紹介します。
1.嬉しくて興奮している
飼い主が帰ってきた時や食事の前などに愛犬がくるくる回っている場合は、嬉しくて回っている可能性が高いです。
このような時は興奮させすぎてはいけないので、すぐに食事を与えたりしないで、愛犬が落ち着くのを待ちましょう。
2.排泄の準備をしている
排泄の前にいつもくるくる回る犬もいます。
排泄前に犬が回る理由には諸説あります。
・野生時代に草などの障害物が当たらないように踏み固めてから排泄していた名残だという説
・ 外敵に襲われるなどの危険がないか安全確認を行っているという説
・ 地球の南北の軸に体の軸(頭とお尻をつないだ軸)の向きを合わせて排泄するため、くるくる回りながら地磁気を探しているという説
最後の説は特にユニークで興味深いですよね。
実は、この犬の排泄時の体の向きに関する研究は2014年のイグノーベル賞を受賞しています。
ちなみに何故南北を向いて排泄したがるのかは、はっきりとわかっていません。
上記の通り、排泄前に犬が回るのは本能的な行動なので心配はいりません。
ただし、屋外でくるくる回っている時は、段差で足を踏み外すなどの危険が生じる可能性があるため、注意して見ておく必要があります。
排泄が終わってからも犬がくるくる回っている場合は、お尻に排泄物がついている可能性があるので、すぐにチェックしてあげてください。
3.寝床を整えている
愛犬が同じ場所をくるくる回った後に寝ころんだら、寝床を整えていた可能性が高いです。
寝床にタオルや毛布がある場合は、それらを動かして寝心地の良い寝床を作ったりもします。
犬も人間のようにベッドメイキングして、快適に寝られるようにしているのですね。
4.ストレスを感じている
少し心配なのが、不安やストレスが原因でくるくる回っている場合。
ずっとしっぽを追いかけ続ける、身体の同じ場所をなめ続けるなど、同じ行動をしつこく繰り返しているようなら注意してください。
原因となるストレスとして考えられるのは、引っ越しなどの環境の変化、運動不足、飼い主とのコミュニケーション不足など、さまざまです。
ストレスがたまって回っている場合、エスカレートするとしっぽを噛むなどの自傷行動に発展するおそれもあります。
愛犬が不安そうにずっと回っているようなら、思い当たるストレスの原因を取り除いてあげましょう。
それでもくるくる回り続ける時は、はやめに動物病院で相談してみてください。
5.遊んでいる
犬は遊びで自分のしっぽを追いかけて、くるくると回ることがあります。
このアクションは「テイル・チェイシング」と呼ばれ、子犬の時期に特によく見られます。
成犬がしっぽを追いかけているときはストレスが原因となっている可能性が高いので、愛犬が不安そうにしていないかどうか確認してください。
6.しっぽやお尻まわりに違和感・不快感がある
しっぽやお尻にケガをするなどして違和感のために回っている場合もあるので、愛犬の体に異常がないかチェックしてあげてください。
7.病気にかかっている
犬が理由もなく、無感情な様子でくるくると回るようになったら病気の疑いがあります。
上記6つの原因に当てはまらないようであれば、病気の可能性があるので獣医師に相談してください。
また、認知症の可能性もあります。
認知症は放置していると進行し、世話が大変になることがあります。
早めにケアを始めれば進行の抑制や症状の緩和が可能になりますので、まずは動物病院に相談してみましょう。
また「認知症かと思っていたら別の病気だった」ということもあるので、自己判断はせず、病院には必ず行くようにしてください。
<犬がくるくる回る時に考えられる病気>
・認知症
犬も人間と同様に認知症になることがあります。
認知症になると、よたよたと回る、壁にぶつかってもまた壁に向かっていく、慣れている場所で迷子になるなどの異常な行動が見られるようになります。
認知症の可能性があると思ったら、早めに獣医師の診断を受けることをおすすめします。
認知症の治療は難しいですが、サプリメントなどを使って症状の進行を抑えることが可能です。
また、介護の相談をすることで、家の環境の整え方、認知症との向き合い方や心構えについてのアドバイスをもらうこともできます。
・脳や耳の異常
脳炎、脳腫瘍、内耳炎などの脳や平衡感覚にまつわる疾患がある場合、犬の意思とは無関係にくるくる回るようになることがあります。これを「旋回運動」といいます。
脳炎が進行すると立てなくなったり、視力を失ったりすることもあるため、様子見はせずになるべく早く動物病院につれていってください。
・てんかん
犬がしっぽを追いかけてくるくると回った後、けいれんの発作を起こすことがあります。
このようなケースでは、「てんかん」の発作が疑われます。
てんかんの発作はすぐに処置をしないと命に関わることもあります。
くるくる回る以外によだれが止まらない、けいれんを起こすなどの症状が見られたら、すぐに動物病院に向かってください。
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犬がくるくる回っているときの対処法
犬がくるくる回るときの対処法は、回っている時の状況によって異なります。状況別に4つの対処法をご紹介しますので参考にしてください。
1.見守る
喜びの表現や遊びでくるくる回っている時は、穏やかに見守るだけで大丈夫です。
ただし、周囲に危険なものがないかどうかの確認はしておいてください。
2.落ち着かせる
もし愛犬が興奮しすぎているようなら落ち着かせましょう。
飼い主が冷静になだめると、次第に落ち着いてくるはずです。
相手をせずにしばらく放置するとクールダウンする場合もあります。
愛犬が認知症の場合は、優しくなでて落ち着かせてあげると良いでしょう。
3.ストレスの原因を取り除く
ストレスが原因の場合は、ストレスの元をできる限り取り除いてあげてください。
運動不足の場合は散歩に連れていくのが良いですし、退屈を感じているようなら一緒に遊んであげましょう。
音などの刺激を恐れて回っている時は、刺激が届かない場所に移動すると落ち着くはずです。
4.病院につれていく
病気の可能性がある場合は、なるべく早く病院に連れていきましょう。
獣医師の診察を受ける際は、愛犬がくるくる回っている時の様子を動画にとって見せると良いでしょう。
病院に行くまでに愛犬がケガをしないように室内の環境を整えることも大切です。
回ってあちこちにぶつかっても大丈夫なように、危ないものはよけてあげましょう。
テーブルの角などの危険な場所にはクッション性のあるカバーをつけてください。
ケージやサークルの中に入れて安全を確保するのもおすすめです。
やってはいけない対処法 叱ったり無理に止めたりするのはNG!
愛犬がずっとくるくる回っている姿を見ると、心配になって無理にでも止めたくなったり、ついイライラして叱りたくなってしまう人もいるかもしれません。
しかし、叱る、無理やり止めるなどの対応は絶対にNGです。
このようなことをすると興奮や不安がエスカレートして、ますます回るのをやめられなくなってしまいます。
初対面の犬とのあいさつで、くるくる回る理由
愛犬が初対面の犬とあいさつをする時にくるくる回っているのを見たことはありませんか?
あれは遊んでいるわけではなく、互いのおしりの匂いを嗅ぎ合って情報を得ようとしているのです。
相手のことを知りたい気持ちはあるけれど、自分のことは知られたくないので、相手を追いかけながら逃げる形となり、くるくる回っているというわけです。
飼い主が介入すると犬同士が仲良くなる妨げになるので、ケンカが起こらない限りは見守ってあげましょう。
まとめ
犬がくるくる回る行動には様々な原因があり、命にかかわる場合もあるため、少しでも異変を感じた時は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
特に問題がなさそうな場合は叱ったりせずに見守り、興奮しすぎているようなら落ち着かせてあげると良いでしょう。
愛犬と長くお付き合いしていくためにも、愛犬の様子をしっかりと見て、適切な対処をしてあげてくださいね。
監修/獣医師 丸田香緒里(アニマルライフパートナー院長) |
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