「東洋医学」と聞くとなんだか難しい言葉に聞こえますが、「鍼・お灸・漢方薬」と分けて考えるとわかりやすいでしょうか。西洋医学では一つの症状に対して1つの薬剤を使用することが多く行われます。
執筆者 獣医師 立石 絵美(たていし えみ)動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう 院長 獣医師資格取得後、動物病院にて18年間小動物臨床に従事。2016年動物往診+在宅ケアにくきゅう開院。国際中獣医学院日本校修了、同認定中獣医鍼灸師。埼玉県鶴ヶ島市を中心とした埼玉西部地域で往診を展開。 |
同じ症状でも異なる治療
東洋医学では表面に表れている症状と、原因になっている体質と両方を見極め、どちらの治療も同時にケアしていく、という考え方に基づいて治療を行います。
心臓が悪くなると心臓の薬、肝臓が悪くなると肝臓の薬、というように、年齢を重ねると次々に薬の処方が増えていきますが、そのような状態になってしまった根本的な原因は、実は同じ体質の変化から来ていることも少なくありません。
例えば「下痢」という症状ひとつを見ても、若くて健康体の子の急性の下痢と、食が細く痩せ気味で震えている子の慢性の下痢では、同じ「下痢止め薬」で治療する、という考え方で本当に良くなるのでしょうか?
東洋医学ではこれを「同病異治」と言います。つまり、症状が同じでも、それが起こった原因は異なるため、違う処方が必要になるのです。
オーダーメイドの治療
仮に同じ薬を使う場合でも、その子の体質や状態によって処方の量を変えることもあります。
クローン技術で作成された動物でないかぎり、1頭1頭は違う個体であり、体質も性格も薬に対する反応も異なります。ですので、その子の状態だけで無く体質や性格、場合によっては毛色や誕生日、家庭環境などを総合的に判断して診断と治療を行う、これが東洋医学の特徴です。このような理由から、東洋医学は「オーダーメイドの治療」と言われます。
食が体を作る
身体は食べたもので作られます。当然のことですが、これを意識して毎日の食事を用意している飼い主さんはごく少数です。毎日同じペットフードを与え、時々オヤツや人の食べ物を与える、という方がほとんどだと思います。
「獣医さんでこのフードを与えるように言われたので」と処方食を長期間続けている子も多く見かけます。薬の処方と同じように、1頭1頭体質が違うのに、同じ病気だから同じフードを何年も与え続ける、これが本当に健康に良いと思いますか?
実は漢方薬の材料になっている生薬と普段私たちが食べている食材には似たような効能を持つものが多くあります。
生まれ持った体質の他に、身体を作るのは食べ物です。旬の食材はその季節に合った特徴や栄養素を持っています。いつものフードに季節や体質に合った食材をプラスすることで身体を整える手助けができます。完全な手作り食はハードルが高いですが、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
食事の相談は動物病院では時間がかかるために倦厭されがちです。実際に与えている食事を確認しながら、他の患者さんに遠慮せずに相談ができるのが往診のメリットです。
病気ではなくても往診を活用して、大切な家族の健康維持を考えるきっかけになれば嬉しいです。
編集部より
MyBESTieeが制作・編集をさせていただいている、往診獣医師協会様の情報誌「Cerca」から立石先生のコラムをご紹介させていただきました。
東洋医学のアプローチと、食に対する考え方を学ぶことができました。往診であれば実際の環境や食事を含めて相談できるので、心強いですね。
「Cerca」は3ヶ月ごとに会員獣医師の先生方によるコラムを中心に、飼い主様にとって有益な情報をお届けしております。
先生方による直接配布に加え、宿泊施設やカフェ、トリミングサロン等、順次設置先を拡大しておりますので、お手に取っていただけたらうれしいです。
往診獣医師協会様のホームページでは、往診専門動物病院の検索や、おうち看護の工夫など役立つ情報が掲載されていますので、すぐに往診治療を必要とされていない飼い主様もご参考になさっていただければと思います。
執筆/立石絵美先生(動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう) 編集/MyBESTiee編集部 |
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