犬を飼う人の悩みで多いのが、「噛み癖がなかなか直らない」こと。
子犬のうちは甘噛みがかわいく思えてそのままにしている飼い主さんも多いようですが、噛み癖を放置していると成犬になっても直らない可能性があります。
成犬の噛む力はとても強いので、時には何針も縫うようなケガにつながることも…。
犬が人間と共に暮らしていくからには、むやみに噛まないようにしつけをしていかなければなりません。
成犬になってからしつけをするのは大変なので、なるべく子犬のうちからしつけを始めることが大切です。
この記事では、愛犬が飼い主を噛む主な理由と対処法、噛み癖解消に効果的なしつけ方、やってはいけない対処法について紹介していきます。
犬が噛むのには必ず原因があります。まずは原因を理解して、適切な噛み癖対策をしていきましょう。
監修者 獣医師 丸田香緒里(まるた かおり)日本大学獣医学科卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在の獣医師になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーに、アニマルライフパートナー設立。 獣医中医師、ペット栄養管理士などの資格を生かし、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療(神奈川県藤沢市及び近郊)のほか、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。往診獣医師協会代表理事、女性獣医師ネットワーク理事を務める。著書に『犬のいる暮らし一生パートナーでいるために知っておきたいこと』(池田書店)。 |
犬が噛む原因と効果的な対処法
そもそも犬にとって噛むことは自然なことです。
子犬の時期には兄弟犬と噛みつきあって遊びますし、母親が愛情表現で子犬をやさしく噛むこともあります。
人は犬が噛むことをネガティブに捉えがちですが、実はポジティブな意味合いで噛んでいることもあるのです。
愛犬がネガティブな意味合いで噛んでくるときは飼い主さんや周囲の環境などに原因があるケースも少なくありません。
愛犬を悪者にするのではなく、「何故、今噛んだのかな?」とよく考えて、適切な対処を行うようにしましょう。
以下では犬が噛む理由別に適した対処法をご紹介しています。参考にしてみてください。
歯茎がかゆくて噛む場合の対処法
子犬の歯は生後4ヵ月ごろから乳歯から永久歯へと生え変わります。
そのため、大人の歯が生えそろう生後6ヵ月~1歳ごろまでは、犬は歯茎にかゆみを感じ、「噛みつきたい」という欲求が強くなっているのです。
このときに噛む物がないと、犬は人間の手、家具、自分の体などを噛んで欲求を満たそうとします。
それを防ぐためには、「犬の噛みつき欲求を満たしてくれるおもちゃ」を与えると良いでしょう。
ストレスが原因で噛む場合の対処法
ストレスを感じている犬は手近なものを噛むことでストレスを解消しようとします。
例えば、以下のようなことは犬にストレスを与えるので要注意です。
・引っ越しなどで環境が変わった
・散歩に連れていってもらえず運動不足が続いている
・飼い主に相手をしてもらえない
・見知らぬ人から触られる
このようなストレスが原因となっている噛み癖を直すには、ストレスを発散させてあげることが一番効果的です。
1日1回の散歩を2回に増やしたり、嗅覚を使って隠したおやつを探すゲーム(ノーズワーク)をさせたりすると良いでしょう。
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食べ物やおもちゃを守ろうとして噛む場合の対処法
愛犬の食事中に近づくだけで噛まれてしまって困っている飼い主さんも少なくないようです。
何故噛むのかというと、フードや食器などの食べ物に関連するものを守ろうとして攻撃しているのです。
この場合、「人は食べ物を奪う存在ではない」ということがわかれば、愛犬が噛みつくことはなくなります。
手から直接フードをあげる、食事中に手でフードを追加するなどして、人の手に対して良いイメージを覚えさせると良いでしょう。
犬はフードのほかに、遊んでいるおもちゃを取られたくなくて噛んでくることもあります。
これを防ぐ対策としては、おもちゃを無理やり取り上げるのではなく、「ちょうだい」と言って、おやつとおもちゃを交換するのが良いでしょう。
こうすることで愛犬は「くわえたものを離すと良いことがある」と学習し、すぐにおもちゃを離すようになっていきます。
嫌なことを避けるために噛む場合の対処法
嫌がっているのに仰向けにされそうになったり、無理やりお手入れをされそうになったりした時、犬は抵抗して噛みついてくることがあります。
その結果、飼い主が愛犬にとって嫌な行動をやめた場合、愛犬はその成功体験を学習して噛みつきを繰り返すようになります。こうなると非常に厄介です。
これを防ぐには、そもそも愛犬が嫌がることを無理やりしないようにすることが大切です。
ご褒美のおやつを用意したり褒めたりしながら、愛犬を誘導するやり方に切り替えてください。
本能行動で噛む場合の対処法
犬は「攻撃された」と感じた時に反射的に噛んでしまうことがあります。
これは本能的な防衛反応なので矯正するのは難しいです。
噛みつきを防ぐために、以下のような犬を刺激する行動は避けることをおすすめします。
・後ろから突然触る
・就寝中の犬に突然触る
・知らない人に触られる
・犬の顔付近を激しくなでる
このようなことが起きると犬は自分の身を守るために噛みつきがちになります。飼い主さんは愛犬が嫌がることをしないように注意しましょう。
病気やケガが原因で噛む場合の対処法
病気やケガによって身体に痛みや不快感がある場合、「その部分を触られたくない」という理由で噛んでくることがあります。
特に普段は噛まない愛犬が噛んでくるようになったら要注意。まずは獣医師に相談してみてください。
犬の噛み癖を改善するしつけの方法
噛み癖対策を行っても、甘噛みなどで噛みつかれてしまうこともあるかと思います。
その場合は、以下のようなしつけを行うことで、噛み癖を直していくことができます。ぜひ実践してみてください。
①愛犬と遊んでいる時などに噛みつかれてしまったら「アッ」といって、遊びを中断し、部屋から出ていきます。
(この時、愛犬が一人遊びできるおもちゃなどは部屋に残しておかないようにしてください。飼い主の他に愛犬の遊び相手になる人が部屋に残っていてもいけません。)
こうして愛犬をひとりぼっちにすることで、「噛むと飼い主がいなくなって、つまらない状況になる」ということを学習させます。
②飼い主さんは部屋を出て5~30秒ほどたったら、愛犬のもとに戻ってください。
30秒以上放置すると、噛んだこと(原因)と一人にされたこと(結果)が結びつけられなくなり、しつけの効果がなくなってしまいます。必ず30秒以内に戻ってください。
このようなしつけを繰り返すと、愛犬は「手を噛むと楽しい遊びが終わってしまう」ということを学び、手を噛まないように気を付けるようになります。
このしつけで大切なのは、飼い主さんが一貫して同じ対応をとることです。
噛まれた後、飼い主さんが遊びを中断したりしなかったりするなど対応に違いがあると、愛犬は「次はどうなるだろう」と気になって、噛むことをやめなくなってしまいます。根気よく同じ対応をし続けてください。
家族がいる場合は、噛まれた時の対応を家族みんなで統一することも大切です。
要注意!やってはいけない対処法
噛み癖改善の対処法が間違っていると、噛み癖はなかなか改善しません。
ひどい場合には、噛み癖が悪化することもあります。
ここでは、噛み癖を直すときに飼い主がやりがちな誤った対処法をご紹介します。絶対にやらないようにしてください。
怒鳴る、叩く、マズルを強く握る
愛犬を怒鳴る、叩くなどの恐怖を与えるしつけはやめましょう。
暴力によってしつけをすると、飼い主との信頼関係が崩れてしまいます。
一度信頼関係が崩れると、ますますしつけがうまくいかなくなって悪循環です。
叩いてしつけをしていると、手を上げただけでも「叩かれる」と感じて噛みつくようになる犬もいます。
大きな声で騒ぐ、逃げる
噛まれた時に人が大げさに騒ぐと、愛犬は「遊んでくれている」と勘違いしてしまいます。
面白がってさらに噛むようになってしまうかもしれません。
また、噛まれた後に逃げたり、愛犬を避けて手をひらひらさせたりする行為も狩猟本能を刺激して、もっと噛みたい気持ちにさせてしまいます。
噛まれた時は慌てず騒がず、冷静に対応することを心がけましょう。
口輪を長時間つけっぱなしにする
噛み癖がある愛犬に口輪をしている飼い主さんもいるかと思います。
口輪は便利ですが、愛犬にストレスを与えてしまうので、長時間つけっぱなしにしてはいけません。
「散歩中に人や他の犬を噛んでしまう愛犬」や「動物病院で獣医師を噛んでしまう愛犬」の場合は、やむをえない時に限定して口輪をつけるようにします。
愛犬が早く口輪をつける必要がなくなるように、飼い主さんはがんばって噛み癖をなおすしつけをしていきましょう。
犬のひどい噛み癖に困ったらドッグトレーナーに相談を
「何故噛むのか理由がわからない」「噛み癖をなおすためのしつけがうまくいかない」「噛み癖がひどくて手に負えない」などお悩みの飼い主さんは、ドッグトレーナーなどの専門家に相談すると良いでしょう。
「犬のしつけ教室」を開いているトレーナーや、自宅まで出張してくれるトレーナーもいます。
体罰などの「犬を力で抑え込むトレーニング」を行うと噛み癖が悪化することもあるので、体罰を使わず、愛犬が覚えられる方法をわかりやすく指導してくれるトレーナーを選んで相談することをおすすめします。
まとめ
犬が噛む行為をする時には必ず何か理由があります。
大切なのは愛犬が噛んできた理由を考え、それに応じた適切な対処法を実践することです。
愛犬が本能的な欲求により噛んでいる場合は、犬用おもちゃなどの「噛んでいいもの」と「噛んではダメなもの」を教え、何でも噛むことをクセにさせないことが大切です。
もし愛犬がストレスを感じている、体調不良になっているなどの理由で噛んでいることがわかったら、すぐにその原因を解消してあげましょう。
このように適切な対処やしつけを根気よく繰り返せば、噛み癖はしだいに落ち着いてくるはずです。
愛犬と笑顔で過ごせる時間が増えることを目指して、前向きに取り組んでみてくださいね。
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