はじめまして!2024年4月に開業しました、”そよかぜ(往診型動物病院)”の獣医師の海老名千尋です。今回のテーマは「対症療法の大切さ」についてです。
執筆者 ![]() そよかぜ 院長 北海道生まれ、22歳まで北海道で育つ。1999年 帯広畜産大学畜産学部環境科学科 野生動物管理学教室卒業、2004年 岐阜大学農学部獣医学科卒業、同年獣医師免許取得。2004年~2012年 愛知県、北海道、千葉県の動物病院に勤務。2014年~ 埼玉県・千葉県の動物病院に非常勤獣医師として勤務。育児と並行しながら勤務を続けてきました。 |
対症療法とは
一次診療(まず最初に診てもらう町の獣医さん)では、飼い主様の希望とペットの状態をみて、ある程度吟味しておすすめの検査や治療法を提案していきます。原因追求を信念としている場合や、症状の緩和を主にすすめる場合などがあります。原因をわかった上で治療をすることはとても基本的で大事なことではあります。しかし中には一次診療では原因がわからないけれど症状があるという場合があります。つまり、麻酔下での細胞の検査やCT、MRIなどを撮ってみなければはっきりとした原因がわからない病気があるということです。では、原因がわからなければ、やれることはないのでしょうか?答えはNOです。できることはあるのです。
症状を緩和する大切さ
例えば原因がわからなくても脱水をしていればそれを補正するために皮下点滴をする。食欲不振の猫であれば強制給餌をする。猫は1週間絶食すると脂肪肝や黄疸になってしまい、ますます具合が悪くなるからです。猫風邪であっても、鼻の腫瘍であっても、慢性鼻炎であっても鼻が詰まると猫は食欲が落ちます。原因追求までの間に弱ってしまわないように吐き気をコントロールしながら、強制的に流動食を食べさせる必要があります。猫の食欲増進剤に関しても最近では有効なお薬が出ています。腫れや炎症をとってあげるお注射もすることができます。詳しい原因がわからなくてもペットが楽になるような処置は可能なのです。このように症状に対して緩和させることを目的とした治療を「対症療法」といいます。対症療法も非常に重要なケアだと思います。
飼い主様の不安に寄り添う
対症療法もできますよ、という情報提供をすることも、飼い主様の不安に寄り添うのも獣医師の大切な役割です。強制給餌のやり方も、直接お教えすることが可能です。同じ獣医師が飼い主様のお話を継続的に聞いたり話したりしていける安全地帯になれると思います。また、2次施設での詳細な検査や処置のあとのフォローアップにも対応できます。飼い主様もほっとできる、ペットも楽になれる、そんな時間や空間を作っていけるのが往診という選択肢ではないかな、と開業してから感じるようになりました。
編集部より
MyBESTieeが制作・編集をさせていただいている、往診獣医師協会様の情報誌「Cerca」から海老名先生のコラムをご紹介させていただきました。
原因が特定されるまでの苦しさや違和感、それらから派生しての不調などを予防したり緩和してもらえるのはそばで見ているわたしたちにとってとても安心できることでしょう。それは自宅での普段の様子やその子の特徴などをよく知る往診の先生ならではのことがたくさんあると思います。
「Cerca」は3ヶ月ごとに会員獣医師の先生方によるコラムを中心に、飼い主様にとって有益な情報をお届けしております。
先生方による直接配布に加え、宿泊施設やカフェ、トリミングサロン等、順次設置先を拡大しておりますので、お手に取っていただけたらうれしいです。
往診獣医師協会様のホームページでは、往診専門動物病院の検索や、おうち看護の工夫など役立つ情報が掲載されていますので、すぐに往診治療を必要とされていない飼い主様もご参考になさっていただければと思います。
執筆/海老名 千尋先生(そよかぜ) 編集/MyBESTiee編集部 |
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