近年、人と同様に犬猫の高齢化が進み「ペットの緩和ケア」や「ペットの看取り」という言葉を目にすることが多くなりました。緩和ケアとは、病気や治療による辛さや苦しみを和らげ、ペットの生活の質を向上させるケアとご家族の心のケアを指します。
執筆者 ![]() おうちdeペットクリニック 院長 2015年日本大学卒業し、獣医師資格を取得。小動物臨床だけでなく、ペット関連企業での研究開発や商品開発、全国複数店舗の動物病院の経営を管理を経験する。2021年より、福岡県内にてフリーランス獣医師として診療業務を担うとともに、病院内の組織構築やバックオフィス管理のサポート、ペット関連事業や商品のサポート事業を展開。2022年には新たに往診専門のおうちdeペットクリニックを開院。 |
緩和ケアのタイミング
多くの方は「緩和ケアは治療を諦めてから始めるもの」と考える方がいらっしゃいます。ですが、病気の診断時や治療の初期から、基本的な緩和ケアを受けることが可能です。人ではがん患者に対する早期の緩和ケアが生存期間を延ばす可能性があるとされています。
緩和ケアのプラン作成
緩和ケアは、ペットの生活の質を評価し、身体的および感情的な苦痛に対処するための計画を立てます。計画には、下記のようなことを考慮します。
〇ご家族の思い
〇病気の評価や治療内容、苦痛の評価
〇生活環境やご家族のライフスタイル
〇診察頻度とコスト、獣医師との連絡手段
〇葬儀や死後の準備
ご家族やペットの状況に合わせたケアを提供するために、定期的な診察や獣医師を混ぜての話し合い、時には看護の代替サービスの利用を提案することもあります。
毎日の記録と獣医師とのコミュニケーション
ペットの活動量や飲食、排泄の様子を毎日記録し、獣医師と定期的に連絡や診察し、ケアの評価をしていくことが大切です。ケアの中でご家族の直感も貴重な情報として取り入れることも大事ですので、質問や不安なことは獣医師に伝えることをお勧めします。訪問診療では質問しやすい環境が整っていますので、気軽に相談してください。
終末期ケアの考え方
どんな子たちにも、最終的には「終末期」となる看取りの期間があります。当院では、強制給餌などの無理な処置を避け、最低限のケアを行います。「皮下点滴」での水分補給を望まれる方もいますが、脱水が最終的に進むと意識低下し、苦痛を感じにくくさせるという報告もあります。終末期での過剰な点滴は余計に苦しみを悪化させる場合もあるため、状態を見極めながら、ご家族とお話し合いを重ね必要最低限で行うようにしています。
自然死と安楽死の選択
動物さんの最期の迎え方として、自然死を選ぶか、安楽死を選ぶかはご家族によって異なります。どちらが正しいということはなく、緩和ケアや終末期ケアを通じて、ご家族と獣医師で何度も話し合いながら決定していきましょう。直接的な声はわからなくとも、今まで過ごしてきた時間や生活の中で、何したいのかな。こんなこと考えているのかな。と感じたこともあるのではないでしょうか。そのご家族の感覚と、獣医師として診察した時の「苦しみや苦痛」と緩和の手段を併せて、「安楽死」を獣医師から提案することもあります。
どんな死の選択にせよ、体は小さくとも大きな存在の死は悲しくて、必ず後悔します。でも少しでもその後悔を減らせたら。もっとサポートできないのか。と、たくさんのご家族の「死」を通して、私たち獣医師も日々精進していこうと感じます。
編集部より
MyBESTieeが制作・編集をさせていただいている、往診獣医師協会様の情報誌「Cerca」から渡邊先生のコラムをご紹介させていただきました。
わたしも昨年愛犬とお別れをして、いまだ毎日考えないことはありません。別れは避けられないことですが、すべての動物さんが穏やかに過ごせるよう願うばかりです。
「Cerca」は3ヶ月ごとに会員獣医師の先生方によるコラムを中心に、飼い主様にとって有益な情報をお届けしております。
先生方による直接配布に加え、宿泊施設やカフェ、トリミングサロン等、順次設置先を拡大しておりますので、お手に取っていただけたらうれしいです。
往診獣医師協会様のホームページでは、往診専門動物病院の検索や、おうち看護の工夫など役立つ情報が掲載されていますので、すぐに往診治療を必要とされていない飼い主様もご参考になさっていただければと思います。
執筆/渡邊 遥先生(おうちdeペットクリニック) 編集/MyBESTiee編集部 |
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